金沢大学 Kanazawa University
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平成 30 年度「IT等活用行動変容研究事業」(課題管理番号:18le0110007h0001)

生活習慣病に対するオンライン保健指導サービスの構築と行動変容への検証研究

生活習慣病に対するオンライン保健指導サービスの構築と行動変容への検証研究

生活習慣病に対するオンライン保健指導サービスの構築と行動変容への検証研究

Kanazawa-SLIM Study (A Novel Smart Lifestyle Intervention for Metabolic Syndrome with a fully-automated, diet-centered coaching app) Kanazawa-SLIM Study (A Novel Smart Lifestyle Intervention for Metabolic Syndrome with a fully-automated, diet-centered coaching app) Kanazawa-SLIM Study (A Novel Smart Lifestyle Intervention for Metabolic Syndrome with a fully-automated, diet-centered coaching app)

研究代表者挨拶

米田隆 教授
金沢大学
国際基幹教育院GS教育系/
医薬保健総合研究科未来型健康増進医学

米田 隆 教授

医学博士
 
日本内科学会
認定内科医
総合内科専門医・指導医
日本内分泌学会
専門医・指導医
日本糖尿病学会
専門医・指導医
日本高血圧学会
専門医・指導医
日本甲状腺学会
甲状腺専門医
日本遠隔医療学会

 この度は「生活習慣病に対するオンライン保健指導サービスの構築と行動変容への検証研究(略称:Kanazawa-SLIM Study)」のホームページをご覧頂き、誠にありがとうございます。はじめまして、金沢大学 国際基幹教育院GS教育系/医薬保健総合研究科未来型健康増進医学分野の米田隆と申します。各研究機関および研究者を代表してご挨拶申し上げます。

 わが国の寿命は第二次世界大戦後男女とも45歳前後でしたが、現在、男性81歳、女性87歳と世界トップレベルとなっております。これは、医学の発達に加え、わが国のヘルスケアシステムの整備の寄与するところが多く、世界保健機関(WHO) から世界一との評価を受けております。その反面、国民皆保険制度は毎年5,000億円の赤字状態、国家予算も社会保障費が全体の1/3(30兆円)でほぼ毎年の国債の額に相当します。少子高齢化が進行するわが国において、この問題を解決することは難しく、この状態が継続すると、医療経済の破綻、最終的に国民の健康が損なわれてしまうことが懸念されております。そのため、健康寿命延伸、健康格差縮小が今、強く求められています。

 そのための一つの手段として、高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病における早期発見、早期介入が重要と考えられており、健診等で積極的スクリーニングが行われています。しかし、現実には症状がないことに加え、医療機関での待ち時間が長いために診療や保健指導を受けず、循環器病合併の診断で初めての受診となり、手遅れになる症例が多く存在します。平成20年からは特定健康診査(メタボ検診)が始まりましたが、平成28年度の国内特定健康診査全対象者数は約5,360万人でそのうち51.4%である約2,755万人しか受診しておりません。また、受診者の17.0%にあたる約469万人が特定保健指導の対象とされていますが、指導実施者の割合は18.8%の88万人にとどまっているという問題があります。

 この問題の解決法として、第4次産業革命の現在、AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)の活用拡大が期待されています。AI やIoT は①健康アプリ等として個人の責任のもとでの使用、②保健指導・特定保健指導での活用(オンライン保健指導)、③診療現場での医療機器としての活用(オンライン診療等)などでの利用が想定されています。IoT デバイスに関しては、今年度からは医師―患者間のオンライン診療も保健診療可能となり、①②③のいずれの場合においてもすでに使用されています。AI に関しては、①での健康アプリとしての個人利用は進みつつありますが、一方、公的な使用である②保健指導での活用③診療での活用において、未だ医学的な有用性や安全性などのエビデンスならびにビジネスモデルとしての実効性が乏しいと思われます。また、AI、IoTを活用するアプリは、公的な使用の承認取得には、そのアプリ単独ではなく、その使用する上でのサービス運用システムも同時に構築し、合わせた医学的エビデンスを確立することが必要と考えられます。

 この度、私が所属する金沢大学を中心とした研究グループは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の平成30年度「IoT 等活用行動変容研究事業」に採択され、株式会社ウィットの開発した食生活・健康管理アプリ&ウェブサービス『あすけん』を特定保健指導の場で活用し、有用性や安全性などのエビデンス構築、そして将来的なオンライン保健指導の確立を目指すことになりました。

※『あすけん』とは ⇨ こちら

 本研究では、特定保健指導対象者を対象として、従来の特定保健指導に加えてIoT デバイスを利用したセルフモニタリングを実施します。『自ら』目標を設定し、『自ら』日々の食事や血圧・体重のデータを取得し、さらにAI による食事のアドバイスを受けることで『楽しく』健康管理を実践してもらうことで、個人の行動変容を促し、高血圧症や脂質異常症などの生活習慣病重症化予防にIoTデバイスやそれと連携するAIを用いた健康管理アプリの活用が有効であることのエビデンス提供目指します。

 本研究の成果により、受診者『自ら』が主体となり、『楽しく』健康管理に取り組むことができる新たな保健指導サービスを構築し、国民全体の健康寿命の延伸と健康格差の縮小をきたいしています期待されます。各研究機関および研究者一同で、皆様の健康のサポートをさせていただきます。

 皆様どうぞよろしくお願い致します。